麻生太郎副総理兼財務大臣。
言う迄もなく、安倍政権の屋台骨を支えて来た有力政治家だ。
その麻生氏が、憲法改正と皇位の安定継承を巡り以下のような
発言をしている(『文藝春秋』1月号)。「憲法改正は自民党の党是です。
…国政選挙に6連勝した安倍政権が憲法改正をやらなかったら、いつやるのか。
…もっとも、残り2年を切った総裁任期で、憲法改正案を発議し、
国民投票に持ち込むのは政治日程上、非常に厳しい。
安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう一期、つまり総裁4選も
辞さない覚悟が求められるでしょうね。
当然ながら、安倍さんの腹の中でも、憲法改正に賭ける執念は
今も変わっていないと思います」「日本のように、二千年以上の長きにわたって同じ場所で、
同じ皇室を戴いている国は他に1つもない。
…だからこそ、女系天皇などはあり得ません。
歴史上、女性天皇は8人10代存在しますが、全て男系です。
皇籍離脱した11宮家は伏見宮家にルーツを持ち、歴代天皇と男系で
連なっている。
まずは、11宮家から未婚の男子を皇籍に復帰させることを考えるべき。
こうした日本にしかない歴史にこそ、世界は尊敬の念を抱いているんです」政治的に無力な一介の評論家ならともかく、第2次安倍政権の発足以来、
一貫して政権の中枢に座り続けて来た政治家の発言としては、
いささか首を傾(かし)げざるを得ない。
今更そんな事を言う前に、これまで憲法改正と皇位の安定継承の為に、
麻生氏自身がどれだけ具体的な努力をして来たのか。
随分、無責任な印象を拭(ぬぐ)えない。「“11”宮家から未婚の男子を皇籍に“復帰”させる」という言い方からすると、
旧宮家のうち、少なくない家が既に廃絶した事実さえ知らず、
かつて一度も皇籍になかった(どころか、親さえ国民だった)人物が、
新しく皇族の身分を“取得”する事の重大さを、どれだけ自覚しているかも
疑問だ。国民としての権利と自由を憲法で保障された人々に対して「させる」
という表現も、政府の人間(しかも最高権力者に次ぐ副総理)の発言としては、
穏やかではあるまい。
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